• 相続コラム

亡くなったら相続税申告を全員しないといけないの?

いえ、相続税申告は全ての人が対象ではありません!
しかし、相続税申告が必要かどうかは、亡くなった方の財産の状況やご家族の状況により異なりますので、その判定は少々難しいです。
今回は、相続税申告が必要な人とはどういう方かということを簡単に解説致します!

 

[本記事で分かること]

  • 相続税申告が必要な人はどのくらいいるのか?
  • 相続税申告の要否の判定方法
  • 相続税申告はいつまでにしないといけないのか?
  • 期限までに遺産の分割方法が決まらなかったらどうなるの!

 

まず、そもそもどれくらいの人が相続税申告をしているのかですが、国税庁の報道発表資料、令和3年の相続税の申告事績の概要によると、令和3年分は全国の死亡者が1,439,856人でその内、相続税の申告者の提出に係る被相続人数(相続税申告の対象者)は134,275人で課税割合(申告書提出に係る被相続人÷死亡者総数)は3%となっています。

つまり、100人亡くなったら約9人が相続税申告をしていることになります。逆に言うと残り91人は相続税申告をしなくてよい人となります。相続税は富裕層の税金と言われる所以ですね。
全国では、9.3%ですが、徳島県は、7.6%です。四国でいうと香川県9.0%、愛媛県7.1%、高知県5.9%となっております。
ちなみに、東京都は18.1%、神奈川県14.1%、愛知県14.9%、大阪府9.5%となっており、都市圏は相続税申告をする人の割合が多いことが分かります。やはり、都市部に富が集中しているということでしょうか?どちらにしても、相続税は一般的には身近な税金ではなく、富裕層の税金という位置付けとなっております。

 

では、相続税申告が必要かどうかの判定方法についてです。

 

これには公式があります。「基礎控除」というものです。
計算式は次の通り。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人
上記の計算式で算出した金額を超えるようなら、申告必要!超えないなら申告は必要ありません。
法定相続人とは一般的にはご家族のことです。仮に夫が亡くなり、妻と子供2人が相続人となるケースでは、基礎控除額は、
 3,000万円+600万×3人(妻、子供A、子供B)=4,800万円となります。
亡くなった夫の財産が、この4,800万円を超えるなら申告が必要で、超えない場合は申告不要ということです。

法定相続人の数により、基礎控除額は変動します。また、法定相続人は亡くなった方の家族構成により変わりますが、ここでは詳しい説明は割愛させて頂きます。要は、人により基礎控除額が変動するため、その人その人で判定が必要ということです。

 

それでは、亡くなった方の遺産はどのようなものがあり、判定する金額はどのように計算するのでしょうか?

 

まず、亡くなった方の現預金・土地・建物・借地権・死亡保険金(非課税金額控除後)・損害保険金・死亡退職金(非課税金額控除後)・株式・投資信託・国債・車・宝石・時計・美術品・骨董品・ゴルフやリゾート会員権・貸付金などのプラスの財産を亡くなった時点で評価をして評価額を合計します。(上記死亡保険金や死亡退職金は500万円×法定相続人分の非課税金額がありますので、その金額を控除後の金額となります。)

次に、銀行借入金・未納の税金・未払の光熱費、クレジット利用料等の債務と葬儀費用(通夜と本葬に係るもの)のマイナスの財産を合計します。

そして、プラスの財産からマイナスの財産を差し引き残額を算出します。
その残額に、加算すべき贈与財産がある場合にはその金額を加算した合計額が基礎控除額を超えるかどうかで判断します。加算すべき贈与とは、3年内の贈与(令和6年より段階的に7年に延長される見込みです。)や相続時精算課税贈与対象の財産ですが、詳しい説明は割愛させて頂きます。

 

相続税申告はいつまでにしないといけないのか?

 

死亡日(被相続人が死亡したことを知った日)の翌日から10か月以内が期限となっております。
この期限は、相続税の納税も同じです。
納税は、現金一括納税が原則です!
期限までに申告納税ができなかった場合には加算税や延滞税が余分にかかることになりますので、ご注意下さい!
相続税申告が必要なことが想定される場合には、生前から納税資金のご準備をされることを強くお勧め致します!

この期限は、仮に分割が決まっていない状態、所謂、未分割の状態でも10か月以内と同じとなっております!
未分割の場合には、基本的には配偶者の税額軽減等の各種特例が適用できないことになります。未分割の場合でも取り敢えず、10か月の期限内に法定相続割合にて仮に取得したとして計算して申告と納税を行っておき、後日、分割が決まったら、その決まった内容にて再申告をするという手続きとなります。

10か月は長いようで、あっという間ですから、相続税申告のご準備やご依頼は早めに行うことをお勧め致します!

ちなみに、準確定申告の期限は4か月以内、相続放棄の手続きは3か月以内となっております。ご参考までに・・・。
※準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)の収入に対する確定申告のことです。 準確定申告は、生前に収入があった人が亡くなった場合に行う必要があります。 本来本人が行っていたはずだった確定申告を、相続人が本人に代わって「準確定申告」として行います。

まとめ

相続税申告の対象者の状況と、その判定の計算方法、申告の期限について解説致しました。
相続税は一般には身近な税金ではありませんが、対象となるのかどうかは、その方の状況により異なりますので、注意が必要です。
相続が発生してから、やることは多岐に渡ります。相続税申告は期限が10か月と決まっていますので、早目にご準備されることをお勧め致します!