• 相続コラム

よくわかる贈与税 その4
~教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置~

よくわかる贈与税シリーズ 第四弾!今回は、「教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置」について詳しくお伝えしたいと思います。
※このコラムは、シリーズとなっております。前回の内容の続きとなりますのでぜひこれまでのコラムもご一読ください。

▼よくわかる贈与税 その1(概要編)

https://m-staff.com/souzoku/news/detail/post-5323/

▼よくわかる贈与税 その2(暦年課税と相続時精算課税)

https://m-staff.com/souzoku/news/detail/post-5300/

▼よくわかる贈与税 その3(住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置)

https://m-staff.com/souzoku/news/detail/post-5331/

10.教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置について

(1)制度の概要(平成25年4月1日から令和8年3月31日までの間の特例)

前年分の合計所得金額が1,000万円以下である30歳未満の方が、直系尊属(祖父母など)から、金融機関等との一定の契約(注1)に基づき、教育資金に充てるため贈与を受けた場合、金融機関等の営業所を経由して教育資金非課税申告書を提出(注2)することにより、1,500万円(うち学校等以外の者に支払われるものについては 500 万円を限度)までの金額に相当する部分の価額については、贈与税が非課税となります。

(注1)金融機関等(信託銀行、銀行等及び証券会社)との一定の契約により、贈与された資金を、金融機関において、子・孫(受贈者)名義の教育資金口座で管理し、この資金が教育費に使われることを金融機関が領収書等により確認・記録し、保存します。

(注2) この非課税制度の適用を受けるためには、
①教育資金口座の開設等を行った上で、
②教育資金非課税申告書をその口座の開設等を行った金融機関等の営業所等を経由して、
③信託や預入などをする日(通常は教育資金口座の開設等の日)までに、
④受贈者の納税地の所轄税務署長に提出等をする必要があります。

(2)教育資金とは ?

学校等に対して直接支払われる次のような金銭をいいます。
入学金、授業料入園料保育料、施設設備費又は入学試験の検定料など
㋑ 学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など

学校等以外の者に対して直接支払われる次のような金銭で教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるものをいいます。(1500万円の非課税枠のうち500万円限度)

【役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの】
㋒ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
㋓ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
㋔ ㋒の役務の提供又は㋓の指導で使用する物品の購入に要する金銭

(注) 受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われる㋒~㋔の金銭については、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限ります。

物品の販売店などに支払われるもの】
 ㋕ ㋑に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
 ㋖ 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費

(3)教育資金口座からの払出し及び教育資金の支払

教育資金口座からの払出し及び教育資金の支払を行った場合には、受贈者が教育資金口座の開設等の時に選択した、教育資金口座の払出方法に応じ、その支払に充てた金銭に係る領収書などその支払の事実を証する書類等を、次の①又は②の提出期限までに金融機関等の営業所等に提出等をする必要があります。

① 教育資金を支払った後にその実際に支払った金額を口座から払い出す方法を選択した場合
領収書等に記載等がされた支払年月日から1年を経過する日

①以外の方法を選択した場合
領収書等に記載等がされた支払年月日の属する年の翌年3月15

(4)契約期間中に贈与者(あげた人)が死亡した場合

契約期間中に贈与者(あげた人)が死亡した場合には、原則として(注1)、その死亡日における非課税拠出額(注2)から教育資金支出額(注3)(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とします。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」といいます。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされます。

(注1)贈与者の死亡日において、受贈者が23歳未満である場合など、一定の場合には相続等により取得したものとはみなされません。

(注2)「非課税拠出額」とは、教育資金非課税申告書又は追加教育資金非課税申告書にこの非課税制度の適用を受けるものとして記載された金額の合計額(1,500万円限度)をいいます。

(注3) 「教育資金支出額」とは、金融機関等の営業所等において、教育資金の支払の事実を証する書類等(領収書等)により教育資金の支払の事実が確認され、かつ、記録された金額の合計額をいいます。

(5)教育資金口座に係る契約の終了

教育資金口座に係る契約は、次の①〜⑤の事由に応じ、それぞれに定める日のいずれか早い日に終了します。

 ①~④により、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除します。)した   残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされます