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相続税のしくみ

そもそも、相続税とはどんな税金なのでしょうか。そのしくみと対策方法の基本を知っておきましょう。

1.相続税とはどんな税金?

相続税とは

まず、相続税とはそもそもどんな税金なのか、基本的なところを確認しておきましょう。国税庁から出ている「相続税のあらまし(平成27年分以降用)」の冒頭では、以下のように説明されています。

相続税は、個人が被相続人(亡くなられた人のことをいいます。)から相続などによって財産を取得した場合に、その取得した財産に課される税金です。

課税対象財産

相続財産として課税対象となるのは、以下の4つです。

財産1.被相続人が死亡した時点で所有していた財産すべて
最もイメージしやすい相続財産です。土地や建物などの不動産、株券などの有価証券、預貯金や現預金などですが、これらに留まらず、金銭に換算できるもの(美術品など)はすべて対象となります。
財産2.みなし相続財産
被相続人が死亡した際に支払われる生命保険金や退職金は、相続によって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。(ただし、一定の金額までは非課税となります。)
財産3.被相続人から取得した相続時精算課税適用財産
生前の被相続人から相続人が贈与を受けていた場合で、かつ、その贈与に関する贈与税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合は、その財産は相続税の課税対象となります。(贈与時の価額が課税対象となります。)
財産4.被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
生前の被相続人から相続人が贈与を受けていた場合、相続開始前3年以内に贈与された財産(上記3.のものは除きます)は、課税対象となります。(贈与時の価額が対象となります。)

課税対象財産の価額から控除できるもの

以下の2つは相続財産の価額から控除することができます。これらを控除した額が課税対象価額となります。

控除1.死亡した時点における被相続人の債務
ローンなどの借入金や未払いの買掛金などのほか、未納の税金なども債務に含まれます。
控除2.葬儀費用
被相続人の葬儀費用を相続人が負担した場合、その費用分は相続財産から控除されます。葬儀費用には、宗教施設・葬儀場などへの支払い、交通費、通夜にかかる費用などが含まれます。

2.どんな人に相続税がかかるのか

相続税がかかる場合とは

「相続で財産を取得した人それぞれの課税価額」の合計額が、「遺産にかかる基礎控除額」を超える場合に、相続税申告を行う義務が発生します。

課税価額とは、上記の財産1~4の合計から控除1~2の合計を差し引いた価額です。では、「遺産にかかる基礎控除額」とは何でしょうか?

遺産にかかる基礎控除額とは

以下の式で算出します。

遺産にかかる基礎控除額 = 3,000万円 + ( 600万円 ? 法定相続人の数 )

例えば、法定相続人が4人であれば、遺産にかかる基礎控除額は3,000万円 + (600万円 ? 4) = 5,400万円となります。この場合、相続財産の合計額が5,400万円を超えている場合は、相続税申告を行う必要があります。逆に言えば、相続財産の合計額5,400万円を超えない場合は、相続税申告の必要はなく、したがって相続税を払う必要もありません。

法定相続人の範囲

法定相続人の範囲は、民法で規定されています。簡単にまとめると以下の通りです。

  1. 被相続人に配偶者がいる場合、その配偶者は常に法定相続人となる。
  2. 配偶者以外の法定相続人は、以下の順番で決定される。

    第1順位:子
    複数の子がある場合でも、全員が同順位です。相続開始時点で既に死亡している場合、さらにその子(被相続人からみると孫)が法定相続人となる権利を受け継ぐことができます。
    第2順位:父母
    第1順位がすべて不在の場合のみ、父母が法定相続人になります。ともに同順位です。相続開始時点で既に死亡している場合、さらにその父母(被相続人から見ると祖父母)が相続人となる権利を受け継ぐことができます。
    第3順位:兄弟姉妹
    第1、第2順位がすべて不在の場合のみ、兄弟姉妹が法定相続人になります。相続開始時点で既に死亡している場合、さらにその子(被相続人からみると甥姪)が相続人となる権利を受け継ぐことができます。

3.相続税の特例を活用しよう

相続税にはいくつかの特例があり、上手く活用することで課税対象となる価額を下げることができます。ここでは、代表的な特例をいくつか見ていきましょう。

小規模宅地等の特例

例えば、以下のような相続のケースを考えてみましょう。

相続人:配偶者、および子3人

相続財産:預貯金=1,000万円、自宅の土地および建物=1億円、債務なし

相続時の居住状況:被相続人および相続人は全員同居

この場合、相続財産は1億1,000万円です。一方、基礎控除額が5,400万円であり、差し引き5,600万円が課税対象となり、重い相続税負担が発生してしまいます。相続財産のほとんどは不動産なので容易に現金化できないため、場合によっては相続税が支払えず自宅を手放す必要が出てくるかもしれません。

しかし、この一家にとってこの自宅は生活の基盤であり、これを失うことは死活問題です。そこで、被相続人と同居していた相続人が自宅を相続し一定の要件を満たす場合には、評価額を下げてくれるという特例があります。これが小規模宅地等の特例です。この特例を使うことで、自宅の評価額は20%ほどになります。上記の例では1億円だった自宅の評価額が2,000万円ほどになり、相続税の課税対象外まで下がります。

ただし、この特例を受ける場合は、実際に納める相続税額が0円であっても、申告の手続きを行う必要があります。

配偶者の税額軽減

被相続人の財産は、配偶者とともに築き上げてきたものです。その見地から、配偶者が相続する財産については相続税の軽減措置が図られています。国税庁のWebサイトでは以下の通り説明されています。

配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(注)?この制度の対象となる財産には、仮装又は隠蔽されていた財産は含まれません。
(1)?1億6千万円
(2)?配偶者の法定相続分相当額
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。

(2)の法定相続分相当額については、配偶者以外の相続人が誰であるかによって異なりますが、詰まるところ、この特例を受ければ、法定相続分を受け取るだけであれば、配偶者については相続税が不要となります。なお、この特例を受ける場合も、実際に納める相続税額が0円であっても申告の手続きを行う必要があります。

特に多額の財産を所有されている方には便利な特例なのですが、実際にはよく考えたほうが良いケースもあります。というのも、その配偶者の方が亡くなられた場合、今度は親から子への相続になることが想定されますが、当然ながらこの特例は使えませんので、結果として多額の相続税を納める必要がでてきてしまいます。これを二次相続といい、相続の際にはこのことも含めて検討する必要があります。どのように相続すれば有利になるかは、相続財産の額、相続人の数やそれぞれの財産状況によって異なりますので、ご興味のある方は当社までご連絡ください。

未成年者の税額控除

未成年者は収入の手段を持たないことが多いため、保護の観点から相続税についても一定の控除が受けられるようになっています。

この控除は、相続財産の価額からの控除ではなく、相続税額からの控除となります。

未成年者控除額 = 10万円 ? (20 - 財産取得時の年齢[1年未満切り捨て])

例えば、財産取得時に14歳8ヶ月であった未成年者については、10万円 ? (20 - 14)= 60万円が相続税額から控除されます。

4.生前の相続税対策

ここまで相続開始後のお話をしてきましたが、相続税は生前に対策することも可能です。いくつかご紹介いたします。

対策1.相続財産の評価を下げる:不動産の活用

大きな効果が期待できる生前対策の一つとして、不動産の活用があります。ポイントとしては貸している土地や家屋は評価額が下がるということです。

例えば、空き地を所有していたとして、空き地の管理は手間がかかって大変です。雑草が生えてくるので定期的に草刈をしないといけませんし、固定資産税も毎年払っていかなければなりません。
そこで、この空き地に7,000万円かけて賃貸アパートを建築します。賃貸アパートの固定資産税評価額はだいたい建築価格の50~60%です。しかも、貸している土地や家屋は自由に売買ができませんし、その不動産の使用に制限がかかってしまいますので、さらに評価が下がり、相続税評価額は建築価格の約40%程度となります。

その結果、7,000万円を現金で持っているよりはアパートに変えたほうが相続税は安くなります。(うまくいけば、家賃収入も入ってきます。)

近年、金利が下がって銀行から建築費用の融資を受けやすくなっていることもあり、この方法はとても流行っています。しかし、当然ながらアパートを経営することは様々な事業リスクを伴うことにもなりますので、実施にあたっては専門家に相談するなどして十分に検討することをお勧めいたします。

対策2.相続税の非課税を利用する:お金を相続税のかからないものに変える

相続税のかからない財産を購入することで、相続財産を減らすことができます。代表的なものは以下のとおりです。

仏壇・お墓
これらの財産は祖先を敬うためのものであり、国民感情を考慮して非課税となっています。お墓や仏壇は意外と高額になるので、生前に買っておけば相続税がかかる財産を減らすことができます。

亡くなった後に買っても非課税扱いにはなりません。また、通常の用途のものより極端に高額なもの(例:純金製の仏像など)は、投資目的と見られて非課税扱いにならないことも考えられます。

相続人を受取人とする生命保険
相続人を受取人とする生命保険金は、一定金額まで非課税になります。計算式は以下の通りです。

生命保険金の非課税限度額 = 500万円 ? 法定相続人の数

法定相続人が4人の場合、500万円 ? 4人=2,000万円までは、相続税がかかる財産とはなりません。
よって、銀行等に2,000万円預けておくより、例えば一時払の終身保険に加入すれば、相続税の対象となる財産が2,000万円減るということになります。
また、生命保険金として相続人本人名義で受け取るので、相続開始直後から使用できる現金を確保できるのも、メリットの一つです。(被相続人名義の銀行口座は、遺産分割が終わるまで凍結されるので、急場の現金需要に使うことができません。)

対策3.相続財産を減らす:消費する・贈与する

消費する(使う)
シンプルな対策ですが、とにかく財産を使ってしまうことです。旅行に行ったり、美味しい料理を食べたり、趣味の物を買ったり・・・。ご自分の努力で築いてきた財産です、ご自分のために使っても良いのではないでしょうか。(とはいえ、過度の散財で財産が消滅・毀損してしまっては元も子もありません。計画的に消費されることをお勧めいたします。)
贈与する(あげる)
消費以外では、贈与も相続財産を減らす方法の一つです。高額の贈与には贈与税がかかりますが、特例を使うと一定金額までの贈与が非課税になります。
例えば、子がマイホームを新築するのを資金援助する場合、省エネ住宅で1,200万円、それ以外だと700万円までは非課税で資金を贈与できます(平成29年度)。これは、住宅取得等資金の贈与税の非課税という制度です。
また、孫に対して教育資金を一括して贈与したい場合は、1,500万円までは贈与税が非課税となる制度があります。ただし、銀行に専用の口座を作り、領収書等を提出する、受贈者が30歳になるまでに使い切れなかった場合は残額に課税されるなど、いくつかの要件があります。
さらに、使用用途の自由度が高い贈与として暦年贈与があります。毎年1月1日から12月31日までの間に受けた贈与額が、110万円以下であれば贈与税はかかりません。(注意点:複数人からもらったとしても、合計110万円が上限です。例えば3人から110万円ずつ、合計330万円もらった場合は課税対象となります。)

贈与は相続税法の改正後に非常に増えてきています。しかし、贈与は仕方を間違えると税務調査が入ったときに否認されるケースもありますので、注意しましょう。税務調査などで否認されにくい暦年贈与の仕方は、次項で説明します。

5.暦年贈与の仕方

暦年贈与は3つのステップで行います。

ステップ1:贈与契約書の作成
贈与契約書を作成していないからといって贈与が否認されるということはありません。
贈与というのは諾成契約で、例えばAさんがBさんに「100万円あげますよ」といってBさんが「もらいます」といって100万円もらえば贈与は成立します。
契約書を作るのはあとから誰が見ても分かるようにしておくためです。契約書には、いつ、誰が誰にいくらあげたかということを書いて、あげる人ともらう人両方が署名押印しておきましょう。
ステップ2:お金の受け渡し
贈与する人の名義の銀行口座から、贈与を受ける人の名義の銀行口座へ直接振込みをしてください。これも、証拠を残しておくためです。
ここで気をつけていただきたいのは、本当に贈与する必要があるということです。よく見られるケースとして、例えば祖父が孫名義の預金通帳を作ってそこにお金を移動する、というのがありますが、通帳を管理しているのが祖父である場合この贈与は否認されます。もし祖父が死亡した場合、この預金に預けられているお金は、たとえ孫名義の通帳であったとしても祖父の相続財産ということになります。これは名義預金といって、相続税の税務調査で最も調べられるポイントです。
そのため、贈与を受ける人の振込口座は、実際にその人が頻繁に出し入れしている口座が良いです。
ステップ3:贈与税の申告
1年間で110万円を超える財産をもらった人は贈与税の申告をしてください。

※本ページの内容について、実際に適用する場合は当法人にご相談ください。資産や相続人の状況によっては、適用できない場合もございます。

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監修:税理士法人アクシス税理士 小島晴美
Last Update:2017-05-09

 

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