揉めない事業承継のコツ!スムーズな引継ぎと後継者選定のポイント

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introduction
2025年1月末に先代である洋一さんと事業承継対談セミナーを行いました。冒頭では、私の方から事業承継の概略(中高生時代から会社に戻ってくるまで)、そして戻ってきた後にどう関わってきたのかについて説明しました。その後は、親子関係の築き方、後継者の選定、後継者の育成、事業承継の進め方、そして承継後の関わり方といった5つのステップについて、それぞれの段階で私や洋一さんが感じたことや考えたことをお話ししました。また、それぞれのテーマについて、事前に皆さんからいただいていた質問にもお答えする形で進行しました。セミナーは約1時間半ほど行いましたが、私自身も話していてとても面白く感じました。全てをコラムでご紹介することは難しいですが「これは面白かったな」「こういう気づきがあったな」と思える内容や「他の会社さんにも共有できそうだな」と感じた点を、数回にわたりお話したいと思います。
干渉し過ぎると親子関係は悪化する
まずは、「親子関係の築き方」についてです。要するに、関係が悪すぎるとうまくいかないということですね。実際、「どうすれば親子関係を円満に保てますか?」という質問もありました。これに関しては、私も洋一さんも基本的に同じ考えで、子どもの頃から勉強や社会人になってからの仕事に関して、先代(多くの場合は父親ですが)が過度に「ああしろ、こうしろ」「それはダメだ」と口を出しすぎると、関係が悪化するリスクがあると思っています。教育に関わることで、優秀な子が育つ可能性はありますが、干渉が強すぎると親子関係がこじれてしまうこともある。事業承継の場面ではそれは大きなリスクになります。
そのため、我が家では教育面に関しては基本的に母親に任せていました。それくらいがちょうど良いのだと思います。父親も若い頃は仕事に割く時間が多く、私の子ども時代の記憶の中でも、父の存在はあまり強く印象に残っていません。叱られたり怒られたりした記憶も1、2回あるかどうかといった程度で、基本的には母親に任せていたように思います。
そうした中で私は「教育ではなく共有」という言葉を使ったのですが、教育しようとするのではなく旅行に行ったり、ご飯を食べに行ったり、どこかに出かけたりする際の自然な会話の中で価値観や考えを伝えていく。それが大事だと思います。例えば「これはこういう仕組みなんだよ」とか「このお店、こういうところがいいよね」といった話を通して仕事の面白さや経営者の感覚を“教育”ではなく“共有”していくことが、結果的に子どもに伝わっていくのではないでしょうか。そうすることで、考え方や経営者マインドが自然に伝
わり、結果的に子どもが経営に興味を持つようになる。そういった意味で、「教育ではなく共有」というのが大切だと思いました。
「継がせるか」よりも「やりたいか」が大切
続いて、後継者の選定についてです。誰を後継者にするのか、そもそも継がせるのかどうかという点ですね。私は小学生くらいの頃から「自分が継ぐことになるのかな」と思っていました。というのも、中学生の頃から父方の祖母に「大学に行ったら会計士の資格をとって、監査法人に勤めて、それから継ぐのよ」と言われていたからです。なので、父もそのつもりで私を育てていたのだろうと思っていました。ところが実際は違っていて、父は「やりたければやればいい」「やりたくなければ無理にやらなくてもいい」と思っていたと聞
いて、意外に思いました。
様々な企業の社長さんとお話ししていると、やはり「やりたければやればいい」という考え方の方が多くいらっしゃいます。ただ「それでは継がせるのが難しいのでは?」と私は思っていたのですが、当社の場合も同じだったわけです。「無理にやらせても、上手くいかない。」父もそう考えていたし、私自身もその通りだと感じています。
ただ、父は毎日楽しそうに仕事をしていました。もちろん悩みや苦労はたくさんあったと思いますが、それを家に持ち帰ることはなく、家では会社や仕事の話もかなりしていましたが、楽しそうに話していましたね。5人家族なのに2人しか乗れない平べったい車に乗っていたり、仕事なのかゴルフなのか旅行なのかよく分からないけど、常に楽しそうにしている人でした。一緒に旅行に行ったり、ご飯を食べに行ったりする中で、いろんなお店や観光地を見ながら、「ここはこういう経営がされてるよね」とか、「これはうまくいってる、いってない」といった話を楽しそうにしていました。その様子を見て、「なんか楽しそうだな」と自然と思えたことが、私が継ごうと思ったきっかけでもあります。誰かに「継げ」と言われたわけではありませんが、父の楽しそうな背中を見て「自分もやってみたいな」と思った。よくある話かもしれませんが、そう感じたということですね。
次回のコラムでは、「親子承継における後継者の苦悩あるある」についてお話したいと思います!ぜひご覧いただけると嬉しいです。