親子承継における後継者の悩みあるある!

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introduction
2025年1月末に先代・洋一さんとの事業承継対談セミナーでは、事業承継に至るまでの経緯と、戻ってからの関わり方について簡単にご説明し、親子関係・後継者の選定と育成・承継の進め方・承継後の関わり方という5つのステップについて、皆さんからの質問も交えながら、それぞれの場面で感じたことをお話しました。印象に残った気づきやエピソードを、数回に分けてコラムでご紹介しています。今回は先月号の続きとして、「親子承継における後継者の悩みあるある!」をお届けします。
親子承継の注意点は?
「親子で事業承継をするメリット・デメリットは何だと思いますか?」という質問がありました。メリットとしては、父親も言っていましたし、私自身もそう感じていますが、親子であれば完全に我が子なので、責任感を強く持てるということです。その事業に対して「知らんわ」と思えないことです。それに加えて、親子承継であれば比較的若い時期から経営者目線で物事を考え、経験できる。これはメリットだと思います。
ただ一方で、デメリットもあって、衝突しやすいというのはあると思います。それからもう一つ、後継者の「自分探し」になりがちなんです。先代というのは、事業承継するまで経営を続けてきたわけですから、ある程度うまくいっている。いろんな経験をして、いろんなことができるようになっているわけです。特に真面目な後継者ほど、「親父だったら即決できたのに」とか、「自分には正直わからない」とかどうしても比べてしまいがちです。
それはやっぱり、比べる相手が親だからなんですよね。それが自分の上司だったらそうはならないと思います。でも父親だと負けたくないと思ってしまう。常に家庭でも一緒にいたからこそ、変にライバル視してしまう。これが、親子承継ならではのデメリットであり、気をつけなきゃいけないことです。
だから私は、後継者自身が「経営者と思いすぎない方が良い」という意識を持つことが大切だと思います。コンプレックスだったり、自分探しだったり、それが変な行動に出やすいので、そこは後継者として自覚しておいた方がいいと思います。
先代は超マクロと超ミクロになりがち!?大事なのはその中間
ちょっと面白い話を、父親が言っていました。参加していた方も「これはまさにそうだと思いました」と共感していましたが、先代には自覚すべきことがある、という話です。一応、事業を継がせた後、先代は現場からは退いているのですが、これもよくある話で、代替わりしたのに色々と口出ししてくる、というのは“あるある”です。
その中で、父親が気づいたのは、「先代の行動というのは、超マクロと超ミクロしか言わない」ということでした。「うちの会社はこうあるべきだ」みたいな超マクロな話か、「ここの椅子がどうのこうの」とか「従業員のAさんがこんなこと言っていたぞ」みたいなことが超ミクロ。でも、実際に経営を回している後継者の立場からすると、「じゃあ結局会社としてどうしたらいいの?」となるわけです。たとえば「従業員がこんな不満を持っている人がいる」と聞いたとして、それはそれで一つの事実として重要ではある。でも、じゃあその声を受けて、毎回会社の体制やルールを全部変えるべきなのか?というとそれはそうじゃないはずなんです。
結局、じゃあ「会社としてどうするのが良いのか」、という“中間”のことが重要になってきます。マクロとミクロの中間、ここが非常に重要なんです。現場で実際に経営をやっている後継者としては、じゃあ結局会社としてどうするのか?と考える中間の部分こそが大事なのですが、先代は、経営を譲った後は、社内の大きな流れ・ステップみたいなものが見えにくくなっている訳です。
会社に来なくても、頭の中には超マクロなことは持っています。でも、たまに会社に顔を出したときに目につくのは、「ここにゴミが落ちている」とか、「あの社員が暗い顔をしている」とか、そんなミクロな部分になりがちです。それに気づくこと自体は悪くないんですが、それをいきなり後継者に「これどうするんだ?」「あれはどうなってるんだ?」とぶつけてしまうと、後継者としては「いや、それはそうだけど会社としては1つ1つ順を追って改善していっている所なんだけど……」となってしまうわけです。
後継者にとって必要なのは、「じゃあ結局どうすればいいのか」という中間の視点です。ただし、先代は超マクロと超ミクロに目が行きがちであるということ。それを自覚したほうがいい、と父親自身が気づいたようでした。私はそれを聞いて、素晴らしいことに気づかれたなと思いました。
もしこの自覚があれば、たとえば「これは超ミクロなことだけど」と前置きして話すだけでも違います。「一応言っておくけど、こういうことがあったよ」といった言い方をするだ
けでも、後継者との衝突はかなり回避できると思うんですよね。
次回のコラムでは、「事業承継スタートのきっかけは?どちらから切り出すべきか?」についてお話したいと思います!