中小企業における生成AIの使い方と可能性

生成AIが最近話題になっています。Chat GPTなどを触ったことがある方は多いと思いますが、業務でAIを使いこなすとなると、都会の大企業の話と思われがちです。しかし実際には、地方の中小企業にとっても、十分に“使える道具”になりつつあります。
AIは「真のDX」を実現するカギ
生成AIの活用は、単なる業務効率化ツールにとどまりません。それは、多くの中小企業が目指すべきDX(デジタルトランスフォーメーション)の強力な推進力となるのです。DXの本来の意味は、「デジタル技術を活用し、ビジネスモデルを変革して、新たな顧客価値を生み出すこと」です。例えば、「営業プロセスをAIで効率化してリソースを確保し、これまで採算が合わず対応できなかった小口のニーズにも応えられるようにする」ということができれば、これはまさに新たな顧客価値の創造であり、「DX」と言えるのではないでしょうか。では、このDXを実現するために、生成AIを具体的にどう活用できるのでしょうか。まずは身近なところからご紹介します。
STEP1:まずは日常業務をAIで効率化する
一番イメージしやすいのは、日常業務の効率化です。例えば、ちょっとした文章の作成。メールの返信文案、企画書のたたき台、社内報やブログ記事など、ゼロから自分で考えると時間がかかるものも、AIに頼めば数秒で草案が出てきます。もちろん、そのまま使えるわけではなく手直しは必要ですが、「最初の一歩を作ってもらう」だけでも大きな時短になります。社内で「こんなときAIを使ったら便利だった」という事例を共有し合えば、社員一人ひとりがそれぞれ工夫して使いこなすようになり、組織全体の効率も高まっていくでしょう。
STEP2:データを資産として蓄積し活用する
もう一歩進んだ活用法は、日々の業務の中で、これまでは流れて消えていった情報を、AIをうまく使うことで「データ資産」として蓄積すること、そして蓄積したデータを活用するのにもAIを使うことです。例えば、
①顧客との打合せや社内会議をスマホ等で録音し、自動で文字起こし。(録音は、iPhoneのボイスメモやその他スマホアプリで代用可能。PLAUD NOTEというAIボイスレコーダー製品もあります。)
②生成AIに要約をさせて、重要なポイントだけを一覧にする。
③それをExcelやkintoneなどの社内データベースに蓄積していけば、立派なデータ資産になります。
これを活用すれば「過去に同じ相談を受けたときどう答えたか」をAIがすぐに引き出してくれます。例えば会計事務所のようなサービス業や営業職であれば、新人や若手が顧客対応をするときも安心ですし、対応スピードやミス防止にもつながります。さらに進めば、「このお客様にはこんな提案ができるのでは?」と、面談記録と自社サービスを自動でマッチングさせることも可能です。これは新たな売上機会の発見につながります。
STEP3:採用の観点からもAIは重要に
実は、AIを活用することは“採用力”にも繋がります。というより、もはや必須であり「使いこなしていないと採用できない/人が辞めていく」という世界が、2、3年後にはやってくるのではないかと思います。例えば会計事務所の採用でいえば、AIを使いこなしていないというのは、これからの世代の若者からすると「そろばんで計算して、手書きで申告書を作成する事務所」と同じようなものに映るかもしれません。そろばんと手書きで仕事させられる会社より、高性能のパソコンで作業し、必要な情報もすぐ手に入る会社で働きたいと思うのは当然ですよね。
まとめ
生成AIは、「都会の大企業だけが使うもの」ではありません。メールの下書きから始めても良いですし、社内会議を記録して要約することからでも構いません。小さな一歩が、やがて大きな差につながります。中小企業だからこそ、柔軟に、新しい道具を取り入れてみませんか。