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【事業承継】先代と後継者のすれ違いを生む「認識の違い」とは

今回のテーマは、多くの同族企業が直面する「事業承継における親子のバトンタッチ」についてです。「なぜ、あんなに言い争いになってしまうのか?」「なぜ、こちらの意図が伝わらないのか?」その原因は、性格の不一致や感情の問題ではなく、実はもっと根本的な「認識のズレ」にあるかもしれません。

なぜ、それぞれの意見がぶつかってしまうのか

事業承継を行うにあたり、なぜ親子の意見がぶつかってしまうのか。それは、先代と後継者それぞれの本音と見えている景色が異なるからだと考えています。まず、先代経営者は誰よりも会社の苦労を知っています。だからこそ、後継者には「失敗させたくない」という愛情が先立ってしまい、「最短距離で成功してほしい」「自分がした苦労をさせたくない」と願ってしまいます。一方で後継者は、会社を自分の代として引き継ぐ責任を感じています。先代が抱いている想いとは反対に、「失敗させてほしい」という自立心のもと、「自分の足で立ちたい」「自分で判断して経験を積みたい」という強い意欲を持っています。

衝突の正体は「悪意」ではなく「認識の差」

お互いに「会社を良くしたい」というゴールは同じです。しかし、そこに至るプロセスへの認識が決定的に違います。お互いが「相手は反抗している」「自分のことが嫌いなんだ」と感情的になってしまうのは、この「認識のズレ」に気づいていないからです。

冷静なコミュニケーションを取り戻すために

関係が修復不可能になる前に必要なのは、我慢でも回避でもなく、「お互いの地図を見せ合うこと」です。「私は『失敗は避けるべきだ』という認識で話しているよ」「僕は『遠回りしてでも自分で経験したい』という認識なんだ」このように、自分の価値観や前提を言葉にして説明してみてください。「アイツはわかっていない」という怒りが、「あぁ、見ている前提が違うんだな」という冷静な理解に変わります。性格の問題ではないと気づくだけで、コミュニケーションは一気にスムーズになります。事業承継は、単なる資産の移転ではなく、「対話を通じた信頼の再構築」のプロセスでもあります。