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コラム2022年4月 多様性に寛容な組織を作るには?

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今回のテーマは?

お世話になっております。今回は、多様性に寛容な組織を作りには?についてお話したいと思います!

1.そもそも自社に「多様性は必要」か?

 まずは、そもそも、大前提として「多様性に寛容な組織になるべきなのか?」「多様性は必要なのか」ということを考えるというステップが必要です。多様性(ダイバーシティー)というと、「なんとなく良さそう」なワードで、あった方がいいような気がしますが、実際には、多様性が「必要な組織」と「必要でない組織」があると思います。例えば、税理士事務所を中核事業とする弊社のような会社が「税金の計算と申告だけを安価で承ります!税金の計算と申告だけしかしません!」というようなモデルでいくのであれば、多様性は非効率になる場合があります。こういったモデルの場合、税金の計算と申告書の作成ができ、黙々と作業する人を集める方が効率的だと思います。
 
一方で弊社はそのようなモデルを目指しているわけではなく、様々なサービスをお客様に提供し、付加価値を高めていきたいと考えているので、弊社の場合は多様性がとにかく価値を生むと思います。
 
もちろん税金の申告計算ができる人や税務相談に乗れる人も大切ですが、お客様の様々な悩みを聞き出せる人、お客様と仲良くなって様々なお困りごとを引き出してくれる人がいれば、そこに対して何らかのサービスをこちらも提供することができます。

他にも弊社では、お客様のチラシを作成したり、イベントを共に企画することに取り組み始めています。そのようなことができる人も価値を生み出していくと思います。
 
弊社での取り組みもご紹介しましたが、全ての企業様が必ずしも「多様性が必要」とは限りません。大切なのは、「本当にそうなのか?」と疑ってみることです。「多様性」の他にも「効率は良くなければならない」と言われるとその方が良さそうな感じがするのと同じように、「無駄はない方がいい」「利益率は高い方がいい」「コストを削減したほうがいい」など、「なんとなくフワっと良い感じ」のワードは要注意です。無駄から新しいアイディアが生まれることもありますし、いたずらに利益率向上やコスト削減だけを追い求めていると顧客満足度を損ねている、ということもあり得ます。
 
私がよく幹部研修セミナーなどでお話させて頂いている「クリティカルシンキング」という思考法は「本当にそうなのか?」と疑ってみるという方法ですが、後継者の方や幹部になる方等は、常にその思考を持たれた方が良いと思います。
 
他にも多様性が重要となる場面に、会社の規模が大きくなるケースが該当します。例えば、何でも前向き考え、行動することができる人や、社内の雰囲気作りができるなどのコミュニケーション能力が高い人。経営者だけではできることが限られてくるなかで、そういった社内の雰囲気づくりや組織の士気を上げられる人は、とても重要となってきます。

2.「風が吹いたら桶屋が儲かる」ことわざから学ぶこと

「風が吹いたら桶屋が儲かる」とは一見関係のないところに因果関係があることを示す言葉です。風が吹いたら砂が舞い上がり、砂が目に入り目が悪くなる人が増えた。すると三味線弾きで生計を立てる人が増え、その結果三味線が売れるようになる。当時、三味線には猫の皮が必要だったので、猫が捕まえられた。それよってネズミが増えたことで桶がかじられ、桶屋が儲かる。という仕組みのことをいいます。要は一見関係のないところに因果関係が繋がり、最後に結果がでてくるということわざです。
 
このことわざから得られることは、桶屋を儲からせようとして「桶を買ってください!」と営業活動をしただけではダメで(※営業活動は大切です)、桶を売るにあたり、廻り巡って「何があったら桶が売れるのか」と過程を遡って考え、手を打っていくことが大切ということです。
 
創業社長さんはそういったことを体感しているかもしれませんが、未熟な状態で会社や事業を引き継ぐ人は、色々な失敗を積み重ねながら自分のレベルをあげていくのでは間に合わない場合があります。なので意図的に「風が吹いたら桶屋が儲かる」という思考を持っておくことが必要です。

3.放っておいて、できるものではない「多様性に寛容な組織」

先ほどの多様性の話に繋げると「多様性に寛容であろう!」と言うことは「桶を沢山売ろう!」と言っているのと同じことです。そうではなく、「何がどうなったら多様性に寛容になるのか」ということを考えることが大切になってきます。そのために必要だと考えているのが、冒頭のTwitterで書いたことです。

1.多様性が価値を発揮する仕事を作り出すこと
2.それが成果が出るようにサポートを行うこと
3.出た成果を社内外に発信し続けること
4.それを見て、皆が「あの人はこんな長所が合って会社に貢献しているよね!」と思うと、多様性に寛容な組織になっていく

このように、様々な個性が輝く仕事を作るとうことも経営者の腕の見せ所でもあると思います。
 
また、多様性が価値を発揮する仕事を用意し、結果が出るように導くには、軌道に乗るまで経営者や幹部がサポートしてあげないといけません。個性が役に立つ仕事を生み出したら、それをビジネス・サービスとして成り立たせるために経営者が伴走をしていく必要があるのです。そして経営者や幹部が、日々の多くの情報の中から多様性が価値を発揮した仕事をキャッチし、それを社内外に発信することも大切です。要は「多様性に寛容な組織」は放っておいてできるものではないということです。
 
これらを継続することで、社内で自分たちと異なることをしている人がいても「あの人にはこんな長所があって、こういうことをやって会社に貢献しているんだね」と皆が思うようになれば、そこにリスペクトが生まれ、様々な個性を持った人を受け入れる組織になると思います。

4.「オンボーディング」も「風が吹けば桶屋が儲かる」思考

似たような思考として「オンボーディング」という用語があります。2020年8月のニュースレターでご紹介しました。これは日本語で「一緒に搭乗する」という意味を表す言葉です。この言葉には、新入社員をスムーズに社内に溶け込ませ、良好な人間関係を構築し、仕事でのパフォーマンスを上げ離職率を低下させるための取り組みという意味が込められています。「一緒の船に乗る」ということで、「仲間意識」や「自分が組織にしっかりと馴染んでいる」という意識を持たせると、離職率が低く抑えられま
す。

一般的によく言われることは、入社当日に設定済みのパソコンが用意され、仕事が準備され、歓迎会が開催されるというようなことです。これらも大切ですが、より本質的には、新入社員が「自分はこの仕事を任せられている」という自信と、必要とされている実感を持ち「嬉しい・楽しい・面白い」と思えることだと思います。それが離職率の低下にも繋がるのではと弊社では考えています。
 
そのような意味で、新入社員でもできるだけすぐにこなせて先輩よりも上達することができ、成果を出せて、お客様からも感謝される仕事を作ってあげること。さらに軌道に乗るように会社側がマニュアルなどを準備し、成果が出せるように導き、さらにその成果を社内外に発信することにより、新入社員も「自分たちもこんな価値のある仕事ができた」と思うようになり、皆さんと一緒の船に乗ることができるようになると思います。

弊社での具体的な取り組みとしては、コロナ関連の各種給付金申請のご支援チームは、新入社員が中心となり業務にあたります。もちろん監督者もいま
すが、実際の作業をするのは新入社員の方々です。
 
給付金は新しい制度のため、先輩たち含めスタッフ全員が横並びでスタートすることができます。申請要項を読み込んで初めて知るものなので、先輩も後輩も有利不利があまりありません。新入社員は給付金に関して研修も行い、毎日何件も申請作業をしているので、先輩達よりも詳しくなる上に、給付金に関してのお客様からの質問に回答したり、先輩から助言を求められたりと、頼りにされ、感謝されることで自信にも繋がります。

通常、税務でのお客様対応は経験を積まないとできないことが多いですが、給付金に関しては短期間でお客様対応のデビューもできるので、弊社ではこのようなオンボーディンの取り組みをしています。 

求めたい結果を「多様性に寛容であろう」とか「新人の一体感を高めよう」というようなことを直接やろうとするだけではなく、何が巡り巡ってそれに繋がるのかという「風が吹けば桶屋が儲かる」思考を持つことで、結果に結びつきやすくなると思います。