生前贈与ルール改正の動きについて
「政府 与党が、生前贈与のルール改正を2023年度の税制改正大綱に盛り込む方針を固めた」という報道が出ています。
『DIAMOND online』の記事(https://diamond.jp/articles/-/313799)に掲載されていましたので、ご紹介します。
なお、雑誌記事に掲載されていた情報であり、正確でない可能性もありますのでご了承ください。
生前贈与改正により、「生前贈与潰し」や「生前贈与は終わった」といった内容の報道がされています。しかし、贈与自体が出来なくなるわけではなく、節税効果が全くなくなるわけではありません。
今回の主な改正内容として報道されているのは、所謂、贈与財産の「持ち戻し」の期間が延長されるという事です。
贈与財産の持ち戻し制度について
贈与財産の持ち戻しという制度は現状もあります。
亡くなる直前に財産を贈与して、財産を減らし、相続税を逃れることを防ぐため、死亡3年前以内にした贈与については、相続財産に持ち戻して加算して相続税を計算する制度です。
つまり、亡くなる直前3年間にした贈与は、相続税の計算上は持ち戻されてなかったことになるということです。
つまり、亡くなる直前3年間にした贈与は、相続税の計算上は持ち戻されてなかったことになるということです。
今回の改正案の報道の内容とは?
今回の改正案の報道は、この持ち戻しの期間が3年から延長されて、7年になるかもしれない、という内容です。
仮に7年に延長された場合の比較は、次の通りとなります。
◇贈与財産の「持ち戻し」の期間が7年に延長された場合
【前提】
資産1億円の人で、相続人が子供2人。
資産1億円の人で、相続人が子供2人。
毎年贈与税非課税の110万を子供2人に10年間贈与し死亡した場合。
①現状(3年内持ち戻し)の場合の相続税 539万
②改正案報道(7年内持ち戻し)の場合の相続税 671万
現行制度と比べると132万の節税効果がなくなったことになり、改正案報道により生前贈与の節税効果は小さくなっています。
しかし、全く贈与をしていなかった場合の上記の相続税は770万となり、10年でみると持ち戻し期間が7年となっても約100万の節税効果はあります。更に資産がもっと多かったり、贈与金額、人数が変わることによって節税効果は大きく変わる可能性があります。
ここで言えることは、早目の対策が必要ということです。
仮に改正で持ち戻し期間が7年となった場合には亡くなる以前7年間の贈与は、相続税の計算上は加算されることになり、贈与の節税効果がありません。
やはり、生前贈与を含めた相続対策は早目に行うことが重要となります。
改正案報道により、その重要性が高まっていると思います。