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コラム2024年6月 新人の離職率を下げる取り組み オンボーディングの”本質”とは?

introduction

4 月から年度が始まる企業において、6 月は新入社員が入社してから丁度3 ヵ月が経つ頃であると共に、新入社員が軌道に乗るかどうかの大切な時期でもありますよね。中には新入社員の定着を課題として感じている企業もあるのではないでしょうか。今回は新入社員の定着を観点に、新入社員の離職率を下げるための取り組み”オンボーディングの本質”についてお話したいと思います。

本質的なオンボーディングとは?

実は3 年前の2020 年8 月号にもニュースレターのコラムとしてオンボーディングをテーマに取り上げたことがあります。

オンボーディングというと、新入社員の歓迎会を開催することや入社当日に自席があるといったことが挙げられますが、本質的なオンボーディングというのは、新入社員の方々が価値ある成果を出すことができ、尚且つお客様や先輩から認められることで、仕事に楽しさややりがいを感じてもらうことではないかと考えています。ただ、このような本質的なオンボーディングを叶えるためには、いくつかの要件を揃える必要があると思います。一つ目の要件は、重要な仕事であり、マニュアル化や研修をすれば新人さんでもできる業務であること。二つ目は、繰り返し行えば先輩よりも詳しくなれる領域であること。三つ目はチェック等の確認が可能であること。四つ目はリスクが低くミスがあっても取り戻しが効くことだと思います。これらの要件が全て揃っているととても良いですが、全て揃っていなくても二つ目にご紹介した” 先輩よりも詳しくなれるような領域” があるととても効果を感じやすいように思います。例えば、会計事務所での仕事であれば、給付金や補助金の申請が上記のオンボーディングに該当します。新入社員の方がいきなり会計税務の処理に携わったり、経営者さんへの会計報告や相談にお答えすることは少し難易度が高いですが、このような給付金や補助金といった申請ご支援であればオンボーディングとして活かせる業務です。

当社でも新型コロナウイルスが流行した2020 年に、持続化給付金などの申請ご支援でオンボーディングを取り入れました。新入社員が給付金における不明点を中小企業庁や経産省に問い合わせをしたり、何件も申請ご支援を担当することで、お客様や先輩よりも詳しくなることができ、頼りにされるようになりました。マニュアルを作成したり研修を実施すれば新入社員でもできる業務であり、また1 度目の申請が通過しなかったとしても、再申請を行うことができることはリスクが低く、オンボーディングにとても適していました。当社の事例を振り返ってもやはり先ほどお伝えした4 つの要件が揃うと効果を実感しやすいと思います。そのためにはまず第一に、オンボーディングに適した役割や仕事を見つけることが必要になってきます。

最近ではSNS 運用を新入社員に任せようと試みる企業も増えているように思います。どのような方向性の投稿をしてもらうかなどのガイドラインやツールを決めておく必要はあります。しかし、あまりSNS に詳しいスタッフがいない企業においては新入社員が先輩よりも詳しくなれる領域でもありますし、リスクもそれほど大きくありません。上記の観点からもSNS運用を新入社員に任せることは理にかなっていると思います。

“社内広報”でより効果を実感

新入社員の離職率を下げるためには、オンボーディングに適した役割や仕事を見つけることが非常に大切ですが、新入社員の方々によりやりがいを感じてもらうためには、お客様からの感謝の声を集め、” 社内広報” として社内に届けることも大切です。ただ、お客様からの悪い口コミは放っておいても集まります(※割れ窓理論)が、お客様からの感謝の声(良い口コミ)というのは放っておいても集まる訳ではなく、集めようとしないと集まらないと思います。

[(※)割れ窓理論とは]

窓が割れているのを放置していると、そのことに対して誰も注意を払っていないという象徴になり、他の窓もすべて壊されてしまう傾向が高いという事実から、反対に割れた窓をすぐに修理すれば他の窓が割られる確率は低くなるという説を唱えた理論。

例えば当社の事例においては、新入社員が持続化給付金の申請ご支援を行った際に、Google への口コミ入力を依頼し、お客様の声を集めていきました。さらに、お客様からの口コミを集めるだけではなく、社内広報として社内に共有することで、新入社員のやりがいに繋がるよう工夫しました。新入社員の方々も自分が携わった仕事がお客様の役に立ったと実感できますし、こういった新入社員の取り組みや成果を社内広報として届け、先輩方に知ってもらうことも非常に効果的だと思います。

他にも新入社員の方にLINE 公式アカウントの運用をお願いするのも一つの方法だと思います。必要性のある仕事であり、さらに先輩方だとなかなか時間が割けないことを新入社員に担ってもらうことで、価値ある仕事に繋がるように思います。LINE のアカウント開設や構築において、スキルやマンパワーが足りなければ当社に依頼していただいても構いません。

マニュアル作成や研修、LINE のアカウント開設など必要なことを揃えた上で、新入社員の方々に価値ある仕事ができるようにし、成果を出し、さらにその成果を社内に届けることでやりがいを感じてもらう取り組みが、離職率を下げるということに繋がればいいなと思っています。