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事業承継の裏話 ~先代との関係は?~

axis talk コラム動画版はじめました! 是非youtubeをご覧ください。

introduction

当社のお客様の中にも、今後事業承継を進める予定があるもしくは現在進行形で進めている方もいらっしゃるかと思います。今回は親子での事業承継にフォーカスを当てて、みなさんが気になるポイントを当社の実例をもとにお話したいと思います。

川人親子は喧嘩しないのか?

多くの企業で「親子で承継」となると、喧嘩して仲が悪くなったりするイメージもあるかと思います。実は私も、父である先代の洋一さんに反発していたことも時々ありました。あれこれ細かいことを言われたりすると「分かっとるわ!」という態度をとってみたり…。普段私と接している方々にとっては、円満に事業承継をしているというイメージがあったり、意外に思われるかもしれません。しかし、私がいくらこのような態度をとっても、洋一さんは全く怒りませんでした。それは本当に凄いと思いますし、感謝すべきところだと思っています。もしも先代が「なんだお前!親に対してその口の利き方は!」と怒鳴ってしまうと、恐らく親子関係に亀裂が入り、修復も難しくなると思います。

後継者 特有の緊張感

もちろん、先代がこのように指摘してくる気持ちが分からないわけではありません。私自身も年下のスタッフと一緒にお仕事をしていると、あれこれ口出しをしたくなるんですよね。それに対して、言われた方としては「分かっとるわ!」と反発したくなる気持ちも出てくると思います。後継者って毎日かなり緊張感があると思うんですよね。経営者歴の浅さから来るものもありますし、責任感ややる気、当事者意識の裏返しもあると思います。自分がこの先、30 年、40 年とこの会社を経営していく中で「完璧にできないといけない!自分がしっかりしないといけない!」という気持ちがあるんですよね。

また、会社の関係者の方々やお客様から「あの後継者はダメ」「経営者に向いていない」と思われるのが嫌だという気持ちから肩に力が入ってしまうのもあると思います。反発する態度や発言というのは、経営者としての自覚の裏返しでもあるのです。

先代の力を上手く借りない手はない

ただ、あるときから先代に反発したり、機嫌を悪くしている自分がまるで幼い子供のように思えてきました。また、これまでは「自分は経営を継いだのだから何でも自分でできなくては!」と思っていましたが、自分が税理士として客観的に親子承継をされている/されようとしている様々な企業様と接させて頂く中で、自分も外部の人間として、若い経営者の方が何でも一人で完璧にこなせなければならないと思って見ている訳でもないですし、そもそも若い後継者に対して「完璧にできて当然」とは思っていないと気付きました。逆に、自分一人で何とかしようとするのではなく、時には経営者としての経験が長く、スキルも高い先代の力を上手く借りて経営をしていく後継者の方が人間としての器も大きく、周りから見て安心感があるのではないかと思い始めました。 実際に現場で「これは先代の力を借りた方がいいな」といった場面もありますし、「自分はまだまだ力不足だ」と感じる場面に直面することも多々あります。他にも先代が過去に経験しているであろう状況を目の当たりにすることもあります。そのようなときには、一つの事例として当時の状況や解決策を教えてもらう方が良いに決まっていますよね。

このような考え方に変わってから、自ら洋一さんに相談する機会も増えましたし、洋一さんと一緒にお客様のところへ訪問し、対応してもらうことも増えました。洋一さんは、「最近広平から相談してくることが増えた」とご満悦でした(笑)また、上司と部下の関係でも同様ですが、やはり自分自身が少し困った状況下で先代が「俺に任せとけ!」と具体的な行動で示し、言葉ではなく背中を見せてくれることで、後継者から先代への尊敬が生まれることもあると思います。当社の先代と後継者もまだまだこれからですが、このような関係を築くことが、成功する事業承継の秘訣だと思います。