コラム2023年2月 MIMAチャレンジプロジェクト前編
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今回のテーマは?
今回は美馬市のうだつの町並みに来ております!
川人:なぜ、うだつの町並みに来ているのかというと、私の前職の上司の
紹介で地方創生のプロジェクトを色々とされている「G&Cコンサル
ティング」という会社の代表である片岡さんとお知り合いになりまして、
美馬市の地方創生も手掛けていらっしゃるということで、お話を伺いたく
て、こちらにまいりました。片岡さんよろしくお願いします。
片岡:G&Cコンサルティング株式会社取締役会長の片岡でございます。
本日はよろしくお願い致します。
川人:今日はですね、うだつの街並みの中の「森邸」という場所に来ているん
ですけれども、片岡さん、森邸について簡単に教えていただけますか?
片岡:はい。森邸はうだつの町並みの築約150年の古民家を改修して、現在サテ
ライトオフィスとコワーキングスペース、さらにはキッチンとカフェの
機能も有しておりまして、現在都市部の企業5社、美馬市で新設された企業
1社の拠点になるとともに、週末限定で兵庫県から移住されたご夫婦がカ
フェを運営されていて、地元のお客様で賑わっております。
川人:平日がサテライトオフィス、コーキングスペースで週末がカフェという
感じですか?
片岡:そうですね。平日はこちらでお仕事を自由にしていただくスペースとなって
おります。
川人:ここの掘りごたつで仕事していいんですね(笑)
片岡:はい、wi-fiもプリンターもACアダプターも完備しておりますので、いつでも
お越しいただければと思います。
川人:なるほど。この取材の準備をしている間、しばらくここに座っていたんですが、
一言で言うとめちゃくちゃいい!すごくいい感じですよね!うだつの町並みが
綺麗なのはもちろんですが、掘りごたつのスペースから外の太陽の光と町並み
を眺めることができるんです。そこに食べ物屋があるんですが、その屋根の影
がちょっと落ちてきて…光と影のコントラストがステキですね。そして、森邸
は風の通りが良くて、風がさーっと通るので、これがまた気持ちがいいんです
よね。
片岡:そうですね、木造の古民家なので、非常に風通しはいいです。
川人:ちょうど季節が夏なので(注:取材時は8月でした)、うだつの町並みの各建物
に吊ってある風鈴がチリンチリンと鳴っていて、非常に気分が良くて、森邸の
掘りごたつもいいですね。椅子で仕事していたらそんなことできませんけど、
ちょっと疲れたらリラックスした体勢で、「今日はちょっと撮影とかもういいか
な~!」みたいな、「ずっとここにいようかな~!」みたいな感じになっちゃい
ますね(笑)
片岡:ぜひ美馬市に来た折には、ご活用いただければと思います。よろしくお願いします。
1.地方創生
【Point 01】G&Cコンサルティングとは
川人:片岡さんの経歴をお聞きすると、日銀で、海外MBAで、外資系金融機関っていう
キラキラというかギラギラというような経歴ですが、そこからなぜ地方創生に行こ
うと思ったんですか?
片岡:ちょうど2014年頃にローカルアベノミクスというのも注目されるようになりまして、
都市部の経営者の方も非常に地方に目を向け始めた時期でありました。その時に私ど
もとしては、地方で色んな取り組みをしたい企業のサポートをするような、地方と
都市部を繋ぐブリッジングの機能を有する仕事ができないかなということで、G&C
コンサルティング株式会社を立ち上げて現在に至っております。
川人:なるほど、G&Cコンサルティングさんの事業内容を教えていただけますか?
片岡:G&Cコンサルティング株式会社は地方創生を中心とするコンサルティング会社です
が、その他に企業のコンサルティング等もやっております。仕事としてはG&Cの名
前にあるようにガバメントとカンパニーを繫いだり、地方と都市部を繋ぐという取
り組みを行っておりますが、実際はG&Cのガッツ&チャレンジという略語と言われ
ているぐらい非常に体育会系的なコンサルティング会社でございまして、地方にい
くつか拠点を持って、地方創生のコンサルティングをしています。
川人:今されている地方創生のプロジェクトというのはどちらでされていますか?
片岡:現在G&Cコンサルティング株式会社は奈良県、徳島県、山口県にそれぞれサテライ
トオフィスを有しておりまして、常駐社員もいて、それぞれの地域の地方創生に取
り組んでおります。他、常駐社員はおりませんが、富山県や福島県、茨城県などで
自治体や地元企業様と一緒に地方創生をしており、過去には広島県や熊本県でも
地方創生の取り組みを行っておりました。
川人:片岡さんはあちこち飛び回っていらっしゃる感じですか?
片岡:はい、私は奈良県と徳島県の事業を行っておりますが、特に徳島県でうだつの町
並みのそばにアパート借りて寝泊まりをしていまして、東京と行ったり来たりし
ながら仕事をしております。
【Point 02】MIMAチャレンジ
川人:G&Cコンサルティングさんが運営されているプロジェクトの中で美馬にMIMAチャ
レンジという会社が立ち上げられていると思うんですが、MIMAチャレンジの事業
内容や運営している施設などについてご紹介をしていただけますか?
片岡:MIMAチャレンジは2018年に徳島県美馬市で立ち上げた会社でございます。現在代
表取締役が私なんですけれども、徳島県内の豪族企業複数社や個人の方々、そして
東京からサテライトオフィスの進出を徳島にしているところ、あるいは今後考えて
いるところに出資をしていただいて、純粋民間資本で運営をしております。地元と
都市部が合資で作っている株式会社をベースに合議の上、地方創生に資する取り組
みを色々やっているということでございます。特にこの徳島県の美馬市におきまし
ては、「サテライトオフィスの運営プロジェクト」や、「事業承継プロジェクト」、
そして「町並み一体型ホテル運営プロジェクト」という三つを大きな柱として取り
組んでおります。
川人:そうなんですね。確かにすごくいい感じで、古民家好きにとってはたまらないです
ね。空き家とかの問題もあるというのはわかったんですが、その後地方創生として
プロジェクト対象に選ぶ上では、いいもの持っているだけではなくて、地方創生が
成功する見込みがあるっていうのが大事だと思いますが、経済的にその数字が成り
立っていくということですよね。その地方創生ですが、うだつの町並み及び美馬市
のどこに成功の可能性を見出したんですか?
片岡:うだつの町並みが観光地で、ベースとして一定の観光客がいらっしゃるということ
と、自治体の規模として、人口3万人ではありますが、ロケーションとしても徳島
市にも高松にも近いというところからもお客さんが来てくれる可能性がある。
そして、例えば周辺地域においてイタリアンレストランなどの対面サービス業を
やっているところがどのくらいあって、価格帯がどのくらいあるのかっていうの調
べた時に、あまり競合するところがなかったということもあって、美馬市でちゃん
とビジネスモデルを考えてやっていけばそれなりの売上と収益を上げられるんじゃ
ないかなというところも考えて拠点を持ちました。
川人:確かに競合の存在というか、競合がどれだけあるのかっていうのが一つ重要なポイ
ントになりますよね。
片岡:例えばイタリアンレストランですと、MIMAチャレンジでイタリアンレストラン
「Punta」というのを営業しておりますが、東京だと人口規模が非常に大きいです
が、イタリアンレストランが6000件以上ある、非常にレッドオーシャンでありま
す。でも一方で美馬市だと人口3万人かもしれないけど、イタリアンレストランの
数からいうと、そこまではない。半径5キロぐらいで調べたところ一件もないよう
なところでしたので、そうすると人口は東京より少ないかもしれないけど、商圏
としてはちゃんと成立するのかなというような見込みで開業致したこともあります。
【Point 03】サテライトオフィス
川人:では、次にサテライトオフィス・事業承継・町並み一体型でやっているホテルと飲
食店など具体的に紹介していただけますか?
片岡:この取材会場になっているサテライトオフィス森邸は、今取り組んでいるサテライ
トオフィス、コワーキングスペースの拠点となっています。今年の4月からMIMA
チャレンジが指定管理を受けた施設として、地域交流センターミライズというとこ
ろに「&Work(アンドワーク)」という施設を設けまして、&Workもサテライトオ
フィス3室と、コワーキングスペース、Zoom個室や防音ルームというのも備えた
施設として、これもサテライトオフィス運営プロジェクトの一環として取り組んで
います。次に今、事業承継プロジェクトの取り組みとしては、「ラーメン二代目天
竜」という事業承継をしたラーメン屋さんの運営を美馬市の脇町で行なっておりま
す。更にうだつの町並みを中心とした町並み一体型ホテル運営プロジェクトの一環
として、古民家イタリアンレストラン「Punta」、そして古民家ホテル「Pavsage
Moriguchi」の運営をしております。
川人:それぞれについて、お伺いしていきたいと思います。まず、森邸と&Workのサテライ
トオフィス運営プロジェクトについてですが、まず素朴な私の疑問として、「サテラ
イトオフィスがあちこちできとるやないかい!」と思っているわけですよ。なぜ徳島
県内にたくさんのサテライトオフィスができているのか教えてもらえますか?
片岡:徳島県内では神山が非常に先進的な地域として有名なんですけど、やっぱり東日本大
震災の後のBCP、そのビジネスの継続性を持たせる意味で、東日本とは違って西日本
にもサテライトオフィスをもつ、それが自然の景観もあって人の繋がりもある地域に、
拠点を設けようという取り組みの中で始まったと聞いております。最近では特にコロ
ナの感染もありまして、非常に密を避けるようになりまして、コロナ後、テレワーク
も同じく普及をしてきましたので、日本全国どこでも仕事ができるということが個人
レベルで分かったという中で、ちょっと地方でサテライトオフィスやコワーキングス
ペースを使って仕事をしたいというニーズから、現在たくさんの施設ができているの
かなと思います。そして行政も地方創生テレワーク交付金のような形で、施設の整備
というのも支援し始めているので、そういういくつかの要素が相まって、現在増えて
きているのかなと思っています。
川人:交付金というのは地方自治体に交付されるものですか?
片岡:そうですね、中央官庁から地方自治体に公布されて、地方自治体がそれを使って整備
の支援するということになっているかと思います。
【みんなが聞きたい!素朴な疑問!】
サテライトオフィスってなにで儲けているの?
片岡:まずは純粋に、利用料というところがあって月額の会員になっていただく、あるいは
スポットで利用していただく方から時間あたりのお金を取っていますが、それだけで
はなくて、そのサテライトオフィスを場として使っていただくことによる収益ってい
うのもあります。例えばサテライトオフィスを使っていただく個人の方とかの創業支
援の研修活動とか、企業様であればビジネス交流会とか、企業の研修や開発合宿とい
ったことも、サテライトオフィスやコワーキング施設を場として使っていただくこと
により、売上として計上しています。サテライトオフィスの運営が続いていく中では
そうしたソフト面の売上が大きくなってくるのかなと思います。
川人:なるほど、人が集まる場を作って、集まってしまえば、そこに対していろんなサービ
スが提供できるということなんですね。
片岡:はい、そうですね。
川人:確かに我々もここに来る前にミライズのサテライトオフィス「&Work」さんを見さ
せていただきましたけど、利用料がすごく安かったですね。黒板に書いてあった個人
の利用料しか見てなかったので、法人契約したらいくらなのかわかりませんが。
片岡:そこまで個人と変わらないですね。
川人:一時間、数百円~千円とかそういうレベルでしたよね。
片岡:はい、むしろたくさんの方にご利用していただいて、利用していただくことを通じ
て、その先の連携ビジネスとかあれば、個人のブラッシュアップ、法人の研修によ
る向上といったところに繋げていけるといいなと思っています。
2.事業承継
川人:続いて、その事業承継プロジェクトの方について聞いていきたいんですけれども、
事業承継プロジェクトは先ほどもラーメン屋さんの話がありましたけども、どうい
うプロジェクトされているのか教えていただけますか?
片岡:現在は「ラーメン二代目天竜」を中心にやっています。徳島県内を中心に、非常に
力はありながらも後継者が見つからないことによって廃業とか閉店してしまうよう
な企業さんや、飲食店だけでなく事業を次の世代に繋いでいくという観点で、企業
の事業承継にも取り組んでおります。
川人:今は二代目天竜さん以外の企業も実際に手がけていらっしゃるということですか?
片岡:現在はまだお話段階で、具体化までは至ってないですけれども、実際に事業を承継
してみたいというような個人の方とか企業というのがありますので、今後そういう
ところと県内の団体とか、個人の方を繋いでいければと思っています。
川人:なるほど、そうですか。事業承継といっても、色々ありますね。例えば税理士的に
いったら株式の引き継ぎも事業承継ですし、株価の算定とか株価対策なども事業承
継です。また、その買い手を見つけ売り手買い手のマッチングというのも事業承継
ですよね。実際に事業承継の後継者さんがうまく経営を引き継ぐお手伝いも事業承
継ですし…色々あると思うんですけど、御社がやっている事業承継っていうのはどう
いうことをするのでしょうか?
片岡:外部リソースにお願いしています。事業承継で必要な株式の評価や財務的な分析な
どは外部にお願いしつつ、我々はどちらかというと事業承継で必要なマッチングと
かですね、その後うまく仕事が進むようなお手伝いサポートというのを中心にやっ
ています。
川人:その後うまくできるようにってことは、かなり長いスパンでご支援をされるような
感じですか?
片岡:そうですね、例えば二代目天竜に関しては、都市部から移住された事業承継希望者
の方がはじめ取り組みを行った時に、うまく開業できるようにオーナーの方と繫い
で、試食会のセッティングをしたり、その方が移住される時の住居を探しのお手伝
いとかも行っています。実際に飲食の運営やフランチャイズ店の経験がおありでした
が、個人でやるお店の経験はそこまでなかったので、どのようにしたらいいかって
いうのを他の飲食コンサルの方も交えて運営の仕方の支援も致します。
もちろんオーナーとの橋渡しや食事の作り方というのもオーナーを交えて一緒に協
議するいうことも致しましたので、そういう意味では事業が円滑に立ち上がるよう
な幅広い支援ということになるかなと思います。
川人:相手を見つけてきて終わりではなく、あの手この手でもうまくいくように支援をし
ているということですね。
片岡:そうですね。
川人:「経営者をやっていなかった人だったら、経営者デビューができるように」という
のはコンサルティングというよりはもう一緒に運営しているみたいな感じですね。
片岡:はい、そうですね。事業承継が円滑に行う意味ではやっぱり事業承継って本当に
そのマッチングして終わりというよりは、いかにその後、継続的に事業が続くか
というところが大事かなと思っているので、痒いところに手が届くような支援を
していくというのが、弊社MIMAチャレンジの特徴かなと思います。
川人:本当に事業承継って株価評価して、贈与して終わりというのも事業承継ですが、
一言に言っても、やっぱり会社によって程度は全然異なるわけなんですよね。
ただ一方で後継者の人っていうのは、特に組織が小規模であればあるほど、やっぱ
り「自分が何でもかんでもやらなきゃいけないけど、やったことないから一個一
個すごい大変!」みたいなことになり、続かなくなったり辞めちゃったりします
よね。だからその「事業承継希望者を総合的に支援する」というのは非常に求め
られていますよね。
片岡:なかなか一人で全てのことをやるって、難しいですよね。特に今まで住んだこと
のない地域で事業をやるっていうのは大変だと思うので、地元の事業関係者との
関係構築とか、オーナーだけではなく事業をやるにあたって必要となるネットワ
ークのご紹介とか、情報発信の仕方なども慣れてらっしゃらないと思うので、
どういう風にしてお客さんにリリースするような発信をするかというところも含
めてサポートをしています。
To be continued next month…