コラム2024年2月　読んで良かった本をご紹介！「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか」について

今回のテーマは？

今年、第1号目となるコラムは前回に続いて、読んで良かった本をご紹介したいと思います。今回は元Microsoftの伝説のプログラマー中島聡さんが執筆された「なぜあなたの仕事は終わらないのか」についてです。
　

引用/ダイヤモンド社ホームページより
https://bunkyosha.com/books/9784905073413

書籍との出会い

　前職のコンサル会社で働いていた頃の話になりますが、ある日、先輩とランチに行った時に「かわひー（当時の川人の愛称）、これ読んだ方が良いよ！」と言われ、その本が紹介された東洋経済オンラインの記事がLINEで送られてきました。記事のタイトルを見てみると、まさかの「仕事が遅い人のなんちゃら」と書かれた記事だったので、それはそれはショックでした（笑）ですが、当時の私は記事のタイトル通り仕事が遅い人間でした。レポートや資料もなかなか終わらない。期限もギリギリで焦って作ることになり、結局時間が足りず更に焦ってミスをする…というような悪循環を繰り返す状態でした。当時の私にとっては図星でしたが、読んでみるとすごく良い本だったので、ご紹介しようと思います。

仕事が遅い人の共通点は”評価恐怖症”

　今回ご紹介する本を要約すると、要は「最初の2割のスタートダッシュの時にコアとなる重要な部分を片付け、残りの8割の時間で完成度を高める（仕上げる）という風に仕事を進めるべし！」といったことが書かれている本でした。言われてみれば当たり前のことですが、当時の私にとっては刺さるフレーズばかりでした。
　特に自分の心にグサッと来たのは、「仕事が遅い人は、評価恐怖症である」ということでした。要は、できていない部分を指摘されるのが怖いという意識から完璧にしようと細かいところばかりをこだわってしまい、結局コアとなる重要な部分や全体ができてないという状態に陥ることです。
　本の中では、”絵を描くこと”が例え話として用いられており、「仕事が遅い人（評価恐怖症）は、まず眉毛を綺麗に描くことから始めてしまいますが、仕事が早い人は顔の全体を作って、眉毛など細かいところは最後という風に進める」と書かれていました。確かにそういう仕事の仕方をしていたな…と思いました。

大切なのは重要な部分を固めてスタートすること
細かな部分は走りながら修正しよう！と許容する

　また、プログラマーであった中島さんのエピソードも記されていました。彼はMicrosoftのWindows95を開発したことにより、”Microsoftの利便性が大きく向上し、世界が変化するきっかけを作った人”という風に言われています。そんな彼が主張していたのは、「何千個のバグがあったとしても、すごく重要なコンセプトや機能というのがしっかりあれば、後は走りながらバグを修正していけば良いんだ」ということでした。
　要は、「ここに小さなバグがある」といった指摘を恐れるあまり、なかなかスタートできない評価恐怖症に陥るのではなく、「そういう細かいバグはあってもいいんだ」と許容するということです。言葉を置き換えると「指摘されても気にしない」ということですよね。様々な仕事において、「重要な価値の8割を占める部分ができていればよしとしてスタートしてしまう。そして、走りながら修正をしていく方がよっぽど世の中に対してのインパクトや成果というのは大きい」ということが記されていました。まさに当時の私は評価恐怖症に該当するような仕事の進め方をしていました。先輩が紹介してくれた本を読んだからといって、すぐに変化するわけではありませんが、あれ以来、「最初の2割の時間で8割を終わらせる」ということを非常に意識するようになりました。

　例えば、資料作成に3時間しか時間が充てられなかった場合、まずは30分前後で資料全体の筋書き、重要なコアとなるメッセージを考え、その部分だけを先に仕上げる。その後、細かい部分を完成させていくというように作業手順を工夫してみたり、「重要な結論は最初の2割の時間で決めておく」というような仕事の仕方をするようになりました。最も重要な部分が出来ていれば、時間が割けなくても、細かな部分は端折ったり、最悪完成まで至らなくても構わないんですよね。
　逆に、細かな部分から取り掛かってしまうと、時間ギリギリになっても重要な部分が出来ておらず、顔を真っ青にしながら作業に追われてしまう・・・ということになってしまいます。かつての自分がそうでした。しかし、この本を読んでからはできるだけそうならないように意識をするようになりました。

　このコラムを読んでくださっている経営者さまの中には、従業員さんに対してそういうことを伝えたいなと思っている方も多いのではないでしょうか。ただ、従業員さんへの伝え方が分からなかったり、お勧めの書籍などを紹介したいけど、どんな本を紹介しようか迷われている方は、是非今回ご紹介した中島聡さんの「なぜあなたの仕事が終わらないのか」を勧めるのがよいかと思います。当時の私みたいに、先輩からLINEでリンクだけが送り付けられるとちょっとショッキングかもしれないので、そのフォローはしてあげつつ、紹介するといいのかなと思います（笑）